貴女に褒められたくて頬つたう銀の雫2872

予報よりも6時間のズレで、

当地にも久し振りに雨らしい雨が降り始め、

自宅前を走る車の音に、

路面に溜まった水を感じさせてくれる。

もう随分昔の曲で、

雨のバラードという曲名だったと思う。

湯原昌幸という歌手の持ち歌だと記憶している。

降りしきる雨の舗道

頬つたう銀の雫

傘もささず歩いてた

ああ

あの人の後ろ姿が

淋しそうで

少しテンポが速かった。

雨を見ると思い出す、

歌詞のようなロマンティックな状況ではない。

当時(40年前)私は中野区の城山中央通に面したアパートに住んでいた。

同郷の友人や大学の友人が集まり、

新宿や中野に飲みに行った。

中野ならブロードウェーも行ったが、

専ら鍋屋横丁に厄介になった。

時折思い出したように新宿に遠征した。

往きはよいよい帰りはこわいではないが、

所持金の不足の所為で帰りは徒歩になったりした。

運悪く、

降り出した雨に濡れて帰宅することもあった。

放歌高吟は当たり前で、

人生も論じた。

若いからできたのだと思う。

明日への不安など無かったと思う。

単位さえ取っていれば、

就職は何とかなる。

アルバイトさえしていれば、

何とか食える。

まだ、

逝った連れ合いと出逢う前のことだ。

40年は仮初のものではない、

今ある私はその40年のお蔭で存在する。

そして、

還暦を過ぎてから出逢った貴女の存在が、

今では私にとって最も大きな存在になっている。

有難いことである。

私の愛する私の全てであり私だけの掛け替えのないえむえぬ様に。